太刀魚テンヤの釣果を左右するのは、テンヤの号数でもカラーでもなく、エサの状態だと思っている。生のまま巻くと身がすぐ崩れ、太刀魚の歯に一発で持っていかれる。
今回は生のサンマを一晩塩で締めたエサを自作して、今治沖へ行ってきた。結果は1人20匹前後。作り方を写真つきで、当日のタナ・号数とあわせて紹介する。

- サンマは生を買って自分で締める。身持ちが段違いによくなる。
- 今治沖・水深80m、タナは底から10m。時合いは9時前後だった。
- 小潮で潮が緩かったのでテンヤ40号で底が取れた。号数は水深だけで決めない。
- バッテリーは9000mAhで80mを1日巻いても半分残った。差し込み形状の確認だけは忘れずに。
なぜエサを塩締めするのか
テンヤのエサは、ただ付いていればいいわけではない。最後まで形が残っていることが何より大事だ。身が崩れた瞬間から、そのテンヤはただの鉛になる。
生のサンマをそのまま巻くと、水分が多くて身が柔らかい。投入の衝撃と巻き上げの水圧、そして太刀魚の歯で、あっという間にボロボロになる。一方、塩で水分を抜いた身は締まって弾力が出るので、アタリがあっても一発で千切られにくい。
| エサの状態 | 身持ち | 手間 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 生のまま | △ 崩れやすい | なし | アタリ1回で終わることも |
| 市販の冷凍 | ○ 標準 | なし | 手軽。船宿で用意されることも多い |
| 生を塩締め | ◎ 粘る | 一晩置くだけ | 形が残るので手返しが伸びる |
サンマの塩締めエサの作り方【手順】
やることは単純で、切って、塩をして、一晩置くだけ。前日の夜に5分あればできる。
手順1:生のサンマを3枚におろして斜めに切る
エサ用の冷凍ではなく、食用の生サンマを買ってくる。これを3枚におろし、真ん中で斜めにカットする。斜めに切ると先細りの形になり、テンヤに巻いたときに水中で自然になびく。
- 3枚おろしにして中骨を外す
- 真ん中で斜めにカット(1枚のフィレから2切れ取れる)
- 皮は付けたまま(身がバラけにくくなる)
- テンヤの軸より少し長めに残すと自然に見える
手順2:塩を全面にかけて一晩置く
トレーに並べて、切り身が見えなくなるくらい塩をかける。量をケチると水分が抜けきらないので、思い切ってたっぷり使う。このまま冷蔵庫で一晩。

手順3:出てきた水分を確認する
翌朝にはこれだけ水分が出ている。身が締まり、色も飴色に変わって透明感が出るのが締まったサイン。塩を軽く落とし、水気を拭き取る。

手順4:仕上げにうまみ調味料をふる
最後にうまみ調味料を全体にふりかけて持っていく。アミノ酸系の集魚効果をねらった、筆者が続けているひと工夫だ。

当日の釣行データ(今治沖・小潮)
今回の釣行条件をまとめておく。潮は小潮で、今治沖としては潮が緩い日だった。
| 項目 | 当日の状況 |
|---|---|
| 釣り場 | 今治沖 |
| 潮回り | 小潮 |
| 水深 | 80m前後 |
| タナ(棚) | 底から10m |
| 時合い | 9時前後 |
| サイズ | 指2〜3本 |
| 釣果 | 1人20匹前後(ほかに鉛筆サイズ10匹ほど=リリース) |
| テンヤ | 40号 |
| エサ | サンマの塩締め(自作) |

今治沖は来島海峡の激流で知られるエリアだが、小潮なら潮が緩み、ぐっと釣りやすくなる。この日も適度に風波があり、船がゆっくり流れる良いコンディションだった。エリアの特徴は今治沖・燧灘のエリアガイドにまとめている。
タックル:テンヤ40号+電動リール
今回使ったタックルは次のとおり。
| 項目 | 今回の使用タックル | 選んだ理由 |
|---|---|---|
| ロッド | メタリア太刀魚 | テンヤ専用設計。穂先でアタリを見て送り込める |
| リール | フォースマスター201 | 小型電動。カウンターでタナを数値管理できる |
| テンヤ | 40号 | 小潮で潮が緩く、80mでも底が取れた |
| バッテリー | 電動リール用 9000mAh | 80mを1日巻き上げても残量は半分ほど |
| エサ | サンマの塩締め(自作) | 身持ち重視。交換回数を減らす |

水深80mで40号が成立した理由
一般的に、テンヤの号数は40号=浅め・潮が緩い/60号=深め・潮が速いが目安。その基準でいえば、水深80mは本来もっと重い号数の出番だ。
それでも40号で通せたのは、小潮で潮が緩かったからにほかならない。つまり号数は水深だけでは決まらない。同じ80mでも、大潮で潮が走る日に40号を落とせば、ラインが流されて底が取れず釣りにならない。
- まず「底が取れるか」が最優先。取れないなら即、重くする
- 潮が緩い日は軽くすると、落下がゆっくりになり食わせやすい
- 潮が速い日は重くして確実に底を取る
- 40・50・60号を持っていけば、潮が変わっても対応できる
電動リールが効く理由
太刀魚テンヤはタナ(棚)がすべてと言っていい釣り。今回のように「水深80m、底から10m」と指示が出たとき、70m前後に正確に合わせられるかで釣果が変わる。
- カウンターで指示ダナに一発で合わせられる
- 当たった水深を記憶して再現できる
- 巻き上げ速度を一定に保てる(テンヤはゆっくり等速が基本)
- 80mの巻き上げを繰り返しても腕が疲れないので手返しが落ちない
電動リールのバッテリー
電動リールを使うなら、電源の確保がセットになる。船に電源が用意されている船宿もあるが、口数が限られていたり、そもそも無い船もある。自前のバッテリーを持っていくのが確実だ。
今回持っていったのは9000mAhの電動リール用バッテリー。水深80mを1日中巻き上げ続けても、終わってみれば残量は半分ほどあった。9000mAhクラスあれば、太刀魚テンヤで容量に不安を感じる場面はまずない。
選ぶときに見るポイント
- 差し込み形状(2芯か6芯か):合わないと使えない。買う前に手持ちのリールを確認
- 電圧:電動リールの対応電圧に合うか(14.8V前後が一般的)
- 容量:深場で数を釣る日ほど消費する。9000mAhあれば1日はまず持つ
- 残量表示:残量計があると、釣行中に不安がなくなる
- コードの長さ:2m前後あるとバッグに入れたままでも取り回しが楽
- 収納・防水:船上は飛沫がかかる。専用ポーチ付きだと扱いやすい
電動リールそのものの選び方は電動リールの選び方にまとめている。
タックル全体の選び方は太刀魚のロッド・リール・ラインの選び方、テンヤの号数はテンヤ・メタルジグ・ワインドの選び方にまとめている。
当日の釣り方:タナは底から10m
締めたサンマをテンヤの軸に沿わせ、ワイヤーで頭側から丁寧に巻いていく。緩いとズレて動きが乱れるので、しっかりと。身がはみ出しすぎると回転するので、軸に沿わせるのがコツだ。

この日のタナは底から10m。水深80mなので、70m前後を意識して巻き上げる。カウンターがあれば、着底から10m巻いた位置がそのままタナになるので迷わない。
- 落とす:着底をしっかり取る(糸フケを出しすぎない)
- 巻く:底から10mをゆっくり等速で。速すぎると見切られる
- 止める:アタリが出たら巻きを止めて送り込む
- 乗せる:重みが乗ってからゆっくり聞き上げる。即アワセは厳禁
- 外す:歯が危険。必ずプライヤーで
タナを通過しても当たらなければ、そのまま上まで巻かずに落とし直したほうが手返しがいい。釣り方の詳細は太刀魚の釣り方(テンヤとジギングの基本)へ。
鉛筆サイズはリリースした
この日のサイズは指2〜3本が中心。その一方で鉛筆サイズが10匹ほど混じったが、これはすべてリリースした。
小さい個体は食べるところがほとんどなく、さばく手間に見合わない。何より、その魚が来年、指3本になって戻ってくるほうが、自分にとっても次に来る人にとってもいい。
リリースの手際はキャッチ&リリースの基本、サイズの測り方は魚の検寸・サイズの測り方とリリース基準も参考に。
釣れたらすぐ血抜き
太刀魚は釣れたらすぐエラの付け根を切って血を抜く。バケツに海水を張って、そこで血を抜いてからクーラーへ入れる。この一手間で、持ち帰ったあとの味がはっきり変わる。

- エラの付け根を切る
- 海水を張ったバケツで血を抜く
- 抜けたら潮氷でしっかり冷やす
- 氷に直接当てすぎない(身が白く焼ける)
締め方と下処理の詳細はタチウオの締め方・下処理・レシピ完全ガイド、保冷は保冷・氷締めのテクニックも参考に。
よくある質問(Q&A)
Q. 太刀魚テンヤのエサは何がいい?
定番はサンマ、キビナゴ、イワシ。身持ちを重視するならサンマが扱いやすい。生のサンマを買って一晩塩で締めると、市販の冷凍より身が粘って崩れにくくなる。
Q. サンマの塩締めはどうやる?
3枚におろして真ん中で斜めにカットし、トレーに並べて切り身が見えなくなるくらい塩をかける。冷蔵庫で一晩置き、翌朝に出た水分を拭き取れば完成。
Q. 塩はどのくらいかける?
ケチらず全面を覆うくらいたっぷり。量が少ないと水分が抜けきらず、締まりが甘くなる。塩は一晩置いたあとに軽く落とす。
Q. うまみ調味料は必要?
必須ではない。集魚効果をねらった筆者のひと工夫で、厳密に検証された話ではない。塩締めだけでも身持ちの効果ははっきり出る。
Q. 今治沖の太刀魚はどのくらいの水深?
今回は80m前後、タナは底から10m(70m前後)だった。日によって変わるので、船長の指示ダナに合わせるのが基本。カウンター付きのリールがあると正確に合わせられる。
Q. 水深80mでテンヤ40号は軽くない?
小潮で潮が緩かったので底が取れた。潮が速い日の80mなら50〜60号が必要になる。号数は水深だけでなく当日の潮で決まるので、40・50・60号を持っていくと安心だ。
Q. 鉛筆サイズが釣れたらどうする?
食べるところがほとんどないのでリリースするのがおすすめ。手早く、優しく水に戻してやりたい。食べきれる分だけ持ち帰るのが、結果的に釣り場を守ることにつながる。
Q. 電動リールのバッテリーはどのくらいもつ?
今回は9000mAhのバッテリーで水深80mを1日中巻き上げて、残量は半分ほどだった。太刀魚テンヤなら9000mAhクラスで容量に困る場面はまずない。船に電源があるかは船宿によって違うので、予約時に確認しておこう。
Q. バッテリーを買うとき何に注意する?
差し込み形状。電動リールの電源端子には2芯と6芯があり、合わないものを買うと変換コードが別途必要になる。対応電圧(14.8V前後が一般的)とあわせて、注文前に手持ちのリールを必ず確認しよう。
Q. エサは何日もつ?
塩締めしたものは冷蔵で2〜3日が目安。使い切れない分は小分けにして冷凍しておけば、次の釣行でそのまま使える。
まとめ
今治沖の太刀魚テンヤで、水深80m・タナは底から10m・時合いは9時前後、1人20匹前後という結果だった。支えたのはサンマの塩締めエサで、生のサンマを3枚におろして斜めに切り、塩をたっぷりかけて一晩置くだけ。これだけで崩れにくく粘るエサになり、エサ交換の回数が減って手返しが伸びる。号数は小潮で潮が緩かったから40号で通せたが、潮が速い日は50〜60号が要る。水深だけで号数を決めないことが大事だ。そして鉛筆サイズはリリース、釣れた魚はすぐ血抜き。釣り場以外のひと手間が、その日の満足度を大きく変える。
あおたん|釣り歴40年
瀬戸内(しまなみ海道・笠岡諸島・今治沖・松山沖・周防大島周辺)を中心に、遊漁船と仲間の船で実釣。タイラバ・船タコ・バーチカル青物・ティップランを年間を通じて釣行。「再現性のある考え方」を重視した記事を書いています。










